講演7「糖尿病と水泳運動」

押田 芳治氏
名古屋大学
総合保健体育科学センター 教授

┃運動処方実施には併存する疾患の確認が必要

 糖尿病にはインシュリン分泌欠損の1型糖尿病とインシュリン抵抗性、インシュリン分泌不全の2型糖尿病があり、日本人の糖尿病患者の95%は2型糖尿病です。
 2型糖尿病の原因には、過食、運動不足、ストレスなどの生活習慣要因と遺伝的要因とがあります。糖尿病は重大な合併症に陥るリスクが高いからこわいのです。
 合併症には網膜症、腎症、神経障害等の細小血管障害と、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等の大血管障害(動脈硬化症)とがあります。
 糖尿病患者の寿命は短かいのですが、食事療法と運動療法を続けた人は正常な人と同じくらいです。食事療法だけで減量してもインシュリン感受性はよくならないのですが、有酸素運動を併用するとインシュリン感受性がよくなります。
 具体的な運動処方としては、軽・中程度の運動(60〜70歳代で脈拍数100/分)を1回10分〜30分、週3〜5回以上行うこと。運動の種類としては散歩、ジョギング、水泳、自転車、ラジオ体操、チューブ体操など全身の筋肉を使う運動があげられ、特に水泳・水中運動は有酸素運動とレジスタンス運動を併せ持った運動なので効果的です。運動処方を実施する前には併存する疾患の確認をする必要があります。
 運動する際の注意点は、ウォーミングアップやクールダウンを十分に行うこと、軽い運動から始めること、無理はせずマイペースで行うこと、服装や靴にも注意することがあげられます。
 また運動すると食欲が出ますが、食事療法は絶対に守らなければいけません。運動当日の運動中止のポイントは、胸痛や胸部圧迫感がある、動悸がしたり脈が乱れる、呼吸困難になる、腹痛や吐き気がある、嘔吐する、下肢や腰に痛みがある、めまいがする等です。いつもと違う時には注意が必要です。

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