講演3 「膝痛・股関節痛と
        水泳運動」

津久井 俊行氏
医療法人白嶺会・仙台整形外科病院 理事長

┃速さよりも距離を意識した正確な指導が大切

 股関節痛の原因として一番ポピュラーなのは変形性膝関節症、いわゆる年寄り膝でしょう。これは加齢的な変化により膝における荷重の処理が傷害され、荷重部の骨軟骨が破壊され、反対に非荷重部では骨軟骨が増殖するために生じます。
 股関節痛の原因として多いのは変形性股関節症でしょう。先天性股関節脱白などが原因で股関節の骨や軟骨にミスマッチがあり体重の処理に障害があると、当初は軽微であっても骨軟骨の磨耗と増殖が同時に進行し、中年以降に変形性股関節症になります。
 膝関節症でも股関節症でも治療法としては薬物療法、理学療法、あるいは荷重を制限するような生活改善などの保存療法と、各種骨切り術、関節形成術、人工関節置換術などの手術療法があります。
 片側の股関節にかかる荷重は、静かな歩行で体重の3倍、ジョギングで4〜5倍、階段昇降で6〜9倍かかると計測されています。このようにすごい力が股関節にはかかっているので、体重は股関節症の敵であり、体重を減らすことが股関節を守ることにつながります。
 水中運動では荷重を避けて思う存分の運動ができるので股関節症の患者に適しています。
 私は股関節症の患者さんのための水泳教室で7年間指導してきました。
 指導で注意すべき点は、年齢、性別、スポーツ歴、股関節の障害程度によってそれぞれ習熟速度が違うので、会員の負担にならないように巧みに指導すること、ニコニコ笑える強度で行うこと、障害者という甘えを持たせず正確に指導すること、速さよりも距離を意識することなどがあげられます。
 水泳教室の効果は、痛みの軽減、筋力増強、関節可動域の拡大、心肺機能強化、日常生活の俊敏化、精神的な活性化、活発な情報交換などです。

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