『第11回水中運動ワークショップ報告』(2006年12月10日)

(有)アクアヘルスコミュニケーションズ 代表取締役 大方 孝


 12月10日(日)に開催された恒例の(社)日本スイミングクラブ協会関東支部「水中運動ワークショップ」(東京都新宿区/ウエルネスエイジ60・東京都健康プラザハイジア4F)についてのレポートです。この「水中運動ワークショップ」は平成13年12月に第1回が開催され、今回で11回目となります。高齢者や障害者の水中運動の普及・振興を図る観点から毎回講習会が企画され、インストラクターが現場で抱えている問題点や課題、参考となる指導法などを「共に学び、共に議論し、交流し、共に成長すること」を趣旨に研修する場を提供しています。
第11回水中運動ワークショップ

大方ことみ氏
 今回のテーマは、「水中運動の理論と実践」という観点から、理論面では「抗加齢と水中運動」というテーマで超高齢者社会を迎え水中運動プログラムが健康づくりにどのように繋がるのか。さらに、「市場戦略・水中介護予防事業―地域での取り組み事例」と題して水中運動の実務応用編として「人口減少社会・超高齢社会」に向けた水中運動進化論的な実例が紹介されました。また、実践面では、市町村で実際に行われている介護予防サービス事業の『筋力向上トレーニング事業』中で必ず必要とされる運動の効果測定(=エビデンス)の1つとなる「高齢者の体力測定の実務演習」を(有)アクアヘルスコミュニケーションズの大方ことみ氏の指導により演習が行われました。

 引き続き、午後に行われたプールセッションでは水中運動の原理原則・基礎基本を応用した、スキルアップセミナー「転倒予防」「介護予防」の水中運動プログラムがそれぞれ開催されました。


 それでは、昨年12月10日(日)に”ウエルネスエイジ60”で、関東近県の他、遠く福岡、福島、静岡などから40名が参加して開催された(社)日本スイミングクラブ協会関東支部「第11回水中運動ワークショップ」の要旨をお伝えしましょう。

小野寺昇氏
松木保氏
 第一部基調講演は、「抗加齢と水中運動」というテーマで、川崎医療福祉大学・教授 小野寺昇氏が講演を行いました。若さを保ち、健康長寿で過ごすために水中運動を行う際のポイントを水の物性と高齢者の生理的な観点から指導の実際にどのようにつなげるのか、また、安全に、効果的に指導するにはどのような点に留意したらよいか。といった運動処方について、時に実験結果等を示しながらのやさしく分かり易い解説が大変好評でした。

 第二部特別講演は、「市場戦略・水中介護予防事業―地域での取り組み事例」と題して、新潟県スイミングクラブ協会会長・松木保氏((株)アクアシガータ代表取締役社長)が、介護予防・健康づくりへの水中運動の拡張性に挑戦した地域の取り組み実例についての報告講演が行なわれました。今夏、「三条市介護予防特定高齢者施策事業」の募集が行われ、その結果、「運動器の機能向上事業」の受託が採択され、これについての事例報告がありました。このような地域における事業者間のコラボレーションとネットワークは極めて戦略性の高い事業展開で、県下採択第一号(アクティスらんなん)の事案は、新潟県SC協会にとっても、業界全体にとっても大変明るい、喜ばしいニュースになると思います。今後、乗り越えなければならない課題は数多いものの、更なる進化を遂げて是非とも結果を出して欲しいものだと思います。そして、この事案を通して地域の同業者間がLLP(Limited Liability Partnership/有限責任組合)やLLC(Limited Liability Company/有限責任会社)などへ発展していけば、さらに画期的なビジネスモデルの創出に繋がる出来事になることは間違いありません。そして、こうした取り組みが、地域に貢献することで、地域の活性化にもつながるのではないかと思います。

 第三部プールサイドセッションは、スキルアップセミナーとして(財)東京都高齢者研究・福祉振興財団事務局・事業課健康支援室・主任古賀富貴子氏の「転倒予防の水中運動プログラム」「水中介護予防の水中運動プログラム」(大方孝)の実技講習が行われました。

古賀富貴子氏 大方孝氏


 受講された皆様からは、次のようなご意見・ご感想を頂きました。『毎回とても参考になっています。これからも参加していきます。今日の講習会で学んだことを活かして生きたいと思います。転倒予防の実技すごくよかったです。要介護の方のプログラムの作り方勉強になりました。ヌードルの使い方また新しいパターン覚えられてよかったです。介護予防・水中での生かした方タイムリーで参考になりました。初めて参加させて頂きとてもこれからの指導に役立つ内容でよかった。有り難うございました。』

 さて、(社)日本スイミングクラブ協会では、指導者養成講習会が開催されています。研修会や講習会で学んだ知識やスキルを現場で大いに活かして欲しいと思います。
 また、自分自身を高めるためには、こうした社外のセミナーなどを継続的に受講していくことで、知識や情報力が高められてスキルアップが実感できるのです。
 こうして専門性を高めていくことは、自分自身のためだけでなく、所属する施設クラブなどの指導力向上にもつながります。そして、その結果は必ず会員の方々や地域のためにもつながっていくのです。
なるほど、なるほど。  最後まで、お読み頂きまして有り難うございました。

JSCAの皆様に、何か良い”気づき”があれば幸いです。 では、今日はこの辺で。

受講者 受講者

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