平成17年8月18日(木)・19日(金)、川崎市のサギヌマスイミングクラブ宮前平において、安全水泳法管理者資格取得講習会が開催されました。
プールでの子ども同士の行為で一方が失明
スイミングクラブ(安全配慮義務違反)と相手の親(子どもの監督義務を怠った)に対して損害賠償をおこしたケース。
スポーツをする上では、事故は避けられないという認識はあるが、今まで同様の事故がなくても「想定しうる事故」についてはあらかじめ何らかの配慮が必要。管理側の責任を問われるケースもある。
また、高齢者の事故について、裁判になった場合「健康状態に配慮があったかどうか」が問われるため、健康診断書、当日の血圧測定など健康状態を事前にチェックできる機能を持たせる。過去に運動経験があり、体に自信のある高齢者が一番危ない。「無理せず、体調に合わせて」と声かけする必要がある。
今年度は、溺者の早期救命に効果がある「AED」(自動体外式除細動器)の使用練習に重点をおく。従来「AED」は医療行為とみなされ、医師・看護師でなければ操作できないものだったが、救急車到着までの数分間が生死の分かれ目となることも多く、生命の危機にある溺者に対してはAEDとCPRの併用が効果的とのことから、講習を受けた人ならAEDを使用できるようになった。
CPR(心肺蘇生法)の流れのうち、「協力者要請」の部分にて、「119番の指示をして協力を仰ぐ」行為に「AEDを持ってきてもらう」行為が追加された。
「水泳安全管理法」「水泳場の衛生管理」から 講師:大津政美氏 |
水による事故を未然に防ぐための人的条件は、日常生活と健康チェック(前日、当日、直前)が肝要。中でも、睡眠不足、飲酒、全身疲労、満腹時、空腹時のように健康でも泳いではいけない人には注意が必要。
怪我、事故の報告書を作成で、間違いやすい語句
・脳貧血と貧血の違い
プールにおける溺水の原因
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▲CPRの流れの中で標準的なAEDの使い方、使用の際の補助方法を繰り返し学ぶ |
(1)泳力不足、(2)低水温により心拍数が下がり心臓に異常が発生する、(3)筋肉痙攣(ふくらはぎの痙攣、胃の痙攣)、(4)過呼吸、気管内吸水などによる意識消失の4つ。バタフライ、平泳ぎなど前向きで息継ぎをする泳法の時、気管内吸水を起こしやすい。
事故対策には、大きくわけて安全のための対策(事故防止対策)=セーフティー、安心のための対策(救急対策、補償対策)=セキュリティーの2つがある。事故防止マニュアルの制定、救急救命、応急手当の訓練を職員に随時実施し、その記録を残しておくことや、傷害保険への加入が急務といえる。
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▲繰り返し行われたインバーテッド
シーザースキック泳法の練習 |
各泳法のチェックからスタート。溺者発見から、ポイントまでのヘッドアップクロールの練習、救助に必要な手の使い方、溺者への後方(または前方)からの接近方法、救助者が溺者の下に潜る接近方法、背の立つ水中でのマウストゥマウス、マウストゥノーズなどの救命方法を学ぶ。溺者を運搬する際に使われるインバーテッドシーザースキック(逆あおり)泳法について、姿勢、足の開き方、角度まで細かい指導が行なわれた。
●救助の流れ:発見→順下→ヘッドアップクロール→あごの確保→バイタルサインの確認(見る、聞く、触れることにより溺者の呼吸を観察)→(呼吸がない場合)人工呼吸2回→運搬→人工呼吸2回→プールサイドへ上げる。
各ステップごとに声に出して確認すること。意識消失の際は、全身の筋肉が弛緩しているため、気道確保が先決となる。
●受講者(セサミスポーツ大船)
CPRのほか、AEDの知識を深めたいと受講を決意した。蘇生法、キャリー方法は状況に応じた種類が多く、とても難しかったが「水中での救助法を学べたので今後の監視業務に自信がついた」という。
★未受講者へのメッセージ:安全水泳法講習会は、自分自身は元より人のためにもなるのでしっかり勉強してほしい。
●弘末真紀さん(セサミスポーツ大船)
赤ちゃんやお年よりの事故は予測できないことも多く、ヒヤッとした経験があったことから受講を決めた。弘末さん自身、陸上での蘇生法の経験はあったが、水中での人工呼吸、運搬は初めてとのこと。「意識のない溺者の救助は、本当はもっと体が重いはず」という弘末さん。「座学での勉強、実地に基づいた研修で自信がついた」という。
★未受講者へのメッセージ:指導者としてもワンランクアップできるし、何より自身の自信に繋がるので、受講をおすすめしたい。
●松山和弘さん
松山さんは、現在、公共プールの責任者・監視員として勤務。日々の業務の中で、事故・危険回避の必要性を痛感。技術・知識の向上を目標に受講した。
「実際に起きた事故事例を元にした法律の解説や運営法は大変勉強になった。搬送、水中での人工呼吸など、実技は大変難しく、日頃の体力作りも大切だと思う。各学科で豊富な資料を頂いたので、早速帰ってスタッフに読ませたい。」 |
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